第83話
『五月十七日、金曜日。天気は快晴。太陽の日差し、温かい。
今日はあまりにもいい天気で、午前中は気分爽快だった。屋上の景色も見たし、リハビリも思ったよりたくさんメニューをこなせた。
「張り切り過ぎると疲れちゃうよ」とか言われたけど、調子がいい時にやらないでどうするんだよ。て、こんな文句を書いてるこの手も今日は滑らかに動いてくれる。
そうだ。今日のリハビリの出来の事を宏樹に話してやろう。
この前の女の子の話のくだりで、「心臓が止まりそうになった」と言ったら、ものすごく心配されたっけ。やめろよとか、例え本当でもそんな事言うなとか…。
でも、今日はこんなにも身体を動かす事ができたんだよって言ってやったら、きっと喜んでくれると思う。
今現在の時間、午後四時十三分。もうそろそろ来る頃だ。続きは後で書こう』
続きは後で、とありながら、五月十七日の日記のその後には何の記述もない。私は思わずクスッと笑った。
「何よ、あいつ。書き忘れちゃってるじゃない」
「それだけ、お兄ちゃんは嬉しかったんじゃないでしょうか」
日記の向こうにいる、優衣さんが言った。
「思いがけず、また理香さんに会えた事が」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます