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第80話
『五月八日、水曜日。天気は晴れ、だけど時々風が出ている。入院二日目。わりと朝食は食べられた。担当の遠藤先生が診察に来るまで、個室で優衣が持ってきてくれたマンガを読む。昼食もおいしかった。
昼食後、リハビリ開始。まだ両足が動くので、心から安心できた。松葉杖付きだけど、僕はまだ歩ける。良かった。またここの屋上からの景色を見に行ける。本当に良かった。
リハビリが終わった後の夕食は、すごくおいしい。あっという間に全部平らげてしまった。満足感でいっぱいだ。
でも、食事が終わって十分後に、それは消えてなくなった。食器を片付けてもらおうとナースステーションの前に行ったら、看護師さん達の話し声が聞こえてきたからだ。
何でも、リストカット癖のある女の子が入院してきたらしい。
ちょっとムカついた。
何だよ。何があったか知らないけど、健康な身体を意味なく傷付けんなよ。女の子でもいいや。そんなにいらないなら、その身体、僕によこせよって思った。
…あれ?久しぶりに、誰かにムカついたような気がする。変なの』
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