第57話
だからといって、私まで『それ』から解放された訳ではなかった。宏樹が見ていない所で、私への攻撃は続いていた。
宏樹が『それ』から解放されて、翌日の放課後の事だった。私は四人の女の子達に連れ出され、校舎の階段の踊り場の壁に押さえ付けられた。
そのうち三人の力が容赦なく私を壁に押さえ付けてるものだから、ギシギシと全身に軋むような痛みが走る。一切身動きできずにいたら、私の正面に立った最後の一人がほくそ笑みながら話しかけてきた。
「前嶋君はともかく、あんたはダメなんだよね~」
ダメ?何が?意味が分からない。何で私はダメなの?
そんな疑問を口に出す前に、額を掴まれてそのまま壁に叩き付けられる。ガツンといった衝撃が頭の芯まで響いて、くらくらした。
「う…」
私の呻く声に重なるようにして、女の子達の下品な笑い声が聞こえてくる。何がそんなにおかしいのか理解できないと共に、そういえば私もこんなふうに笑って蒔絵を見下ろしてたっけと思い出してた時だった。
「何やってんだ、お前ら。もうやめろ!」
あれ、おかしいなと思った。どうして三日前に聞いた宏樹の言葉が今聞こえてくるのかと。
そして次の瞬間、私の身体は女の子達から離され、二本の長い腕に守られていた。
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