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第47話

…何、こいつ。何でニコニコしてるの、マジで気持ち悪い。


 それが私の、あいつに対する第一印象だった。


 あいつがこの病院の入院患者なんだろうなって事は、すぐに分かった。


 ずいぶんと着古した、水色の縦縞模様が入ったパジャマを着ていたし、持っている松葉杖にも病院の名前が書いているのがちらりと見えたし。


 何より、あいつの体格がそれをしっかりと分からせてくれた。同い年の男の子にしてはあまりにもひょろひょろとしている。特に両足なんて、普通に握ったくらいでも簡単に折れちゃうんじゃないかって思えるくらい、異様なまでに細かった。


 あいつは、ニコニコとした笑みを保ったまま、もう一度私に言った。


「そこで何してるの?」


 その言葉にハッとして、私は慌てて屋上の縁から離れた。


 そのまま、あいつから視線を逸らす。何もかもがつまんなくてウザく感じていた私には、あいつのその笑顔もたまらなく嫌でしょうがなかった。


「…別に」


 視線を逸らしたまま、私は歩き出した。


「あんたには関係ないでしょ」


 早足で進んでいたから、あっという間にあいつの側まで近付いて、それから一気に横をすり抜ける。


 …そのはずだったのに、そこで私の足は止まった。私の左腕を、あいつの骨ばった手が掴んだからだ。


 前嶋宏樹にされた時と同じように、びりびりっと痛みが走った。

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