第33話
「安西、お前終わったぞ」
「え…」
「ま、自業自得だよな。見てみろよ」
そう言って、私の席の方を指差す。
バカな、そんなはずないじゃない…。
そう思いながら、私はゆっくりと自分の席を見る。すると、信じられないものが目に飛び込んできた。
『クソ女』
『このクラスから出ていけ!』
『死んじゃえ!』
…他にも、他にもたくさんの落書きで埋め尽くされた私の机と椅子。椅子の上には、私の教科書や体操服がボロボロになった状態で置かれていて。
極めつけは、ベタだけどそれなりに強い効果を発揮する花瓶。それが机の真ん中にていねいに飾られていた。
これがどういう事なのか、私自身が一番よく分かっている。だって、私が今まで『それ』のターゲットにずっとやってきた事だもん。
でも、まさか、私自身がターゲットになるなんて、夢にも思っていなかった。
「今日はあの子」「今度はこの子」、そうやって選んでいく立場は絶対的で、揺るがないものだと信じて疑ってなくて…。
だから、まさかそれで皆から恨まれる事になるなんて、少しも思ってなくて…。
この日から、『それ』のターゲットは私になった。誰と入れ替わる事もなく、ずっと。
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