第32話
蒔絵が学校に来なくなって、十日くらいが過ぎた頃だった。
いつものように朝、学校に行って教室に入る。そして、一番最初に目が合った女の子に挨拶した。
「おっはよ♪」
「……」
その子は、返事をしなかった。
まるで、親の仇でも見るかのような目で私をじろりと睨むと、次の瞬間にはふいっと顔を逸らして自分の席に着いてしまう。
…何、こいつ。ムカつく、すごくムカつく!
今日のターゲットはこの子に決定!そう思いながら、教室の真ん中で集まってる他の子達に声をかけようと近付いた。
「おはよう、皆♪ねえねえ、今日はさあ…」
「…ん?今、何か聞こえたぁ?」
「え~、何にも聞こえないよぉ?」
あれ、と思った。
だって皆、私の方を振り向こうとしない。私の声、聞こえているはずなのに、誰も聞こうとしてくれない。
それに、皆の言葉も気になった。だって、これって『それ』が始まる合図のようなもので…ターゲットを攻撃している時の定番の言葉だもん。
何で?どうして?
訳が分からず立ち尽くしていると、後ろの方でヒュウッと口笛が鳴った。
思わず振り返ってみると、そこには数人の男子がいて、私をニヤニヤ笑いながら見つめていて…そのうちの一人が言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます