第90話
『言いたくもない事を無理矢理言わせて、辛い思いをさせた…』
「ユウヤ君…」
『同期で親友だったんだろ。もう、無理に吉川さんを悪く言わなくていいから』
「……」
『少し休んだらあがってくれ、それじゃあ』
男鹿が何も言い返す間もなく、電話は切られた。ツー、ツーと繰り返される不通音が男鹿の耳に響く。
「…ふっ、う…」
男鹿の手から携帯電話が滑り落ちた。ガチャンという音を立ててベッドの下に転がる携帯電話の横に、ぱたぱたと滴が落ちた。
「よ、吉川っ…うぅ~…おぉぅ…」
我慢できず、男鹿――いや、オガは顔を両手で覆っていたが、その指の隙間から涙がこぼれ落ちていく。
オガは己の信念を曲げず、大義の為にその命をかけ、散らしていった親友を思いながら、長い時間泣き続けていた…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます