第88話
「全く、とんだ恥さらしがいたもんだ!」
男鹿が叫んだ。
「国家認定国際検事は、我が日本大国の代表たる存在!それがテロリストに荷担するとは、何と情けない!」
「あ、ああ…吉川とかいってましたね」
「あんな輩は処刑されて当然!日本大国バンザーイ!バンザーイ!バンザーイ!」
大きく両腕を振り上げ、騒ぎまくる男鹿。今にも倒れそうなその身体を須藤は何とか支え続けようとするが、アバラの痛みがズキンと響く。そこへ根岸が慌てて駆け付けた。
「男鹿様!どうされましたか!?」
「すみません、男鹿検事をどこかで休ませていただけますか?」
須藤は流すように男鹿の身体を根岸に預ける。根岸は男鹿の酩酊(めいてい)している姿に動揺したのか、ろくに須藤の顔も見ずに「分かりました」と男鹿を廊下の奥へと連れていった。
須藤がほうっと息を吐いた時、彼の携帯電話がメール着信を知らせる音を鳴らした。
メールボックスを開いてみれば、それはやはり椿からで「まだか?」という短文が浮かんでいた。
課長に引き続き、今度は身内に怒鳴られるのか。ちょうど厄介者がいなくなった受付所を通りすぎながら、須藤はそう思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます