第60話
「プラスチック弾にしておいて正解でしたね…でも、何故ですか?」
オガが今度は短くも厳しい口調で言い換えたが、ユウヤの反応は変わらなかった。無言のままドアを開き、滑り込ませるようにその身を奥に運ぶ。ドアが閉じる音が響いて聞こえた。
リュウジが少し苛立ったように、床にあったゴミ箱を蹴った。空のゴミ箱はゴロゴロ転がり、ナオトの足元で止まった。
「…ちっ!俺には撃つなと言っときながら、自分はしっかり撃ちやがって」
「ユウヤさんとお前を一緒にするな」
「おいおい。今日が初対面のはずだろ、ボウヤ?きちんと敬語を使えよ」
「ヤダね。僕がお前を知らないと思ってるのか?幻のCase.29さん」
「へえ、調べたのか?だったら、ボウヤにはちょっと刺激が強かったかな?」
「ボウヤって言うな、この人殺し…!」
言い合いながら、徐々に距離を詰めていくナオトとリュウジ。
お互いの腕が相手の胸ぐらを掴める距離まで近付き、ほぼ同じタイミングで二人の腕が上がった瞬間、その二本の腕をオガがしっかりと捕まえた。五十代とは思えない力強さだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます