第59話
「前の作戦で自分勝手に飛び出したから、奴らに捕まったんだろ?…お前、ゲロってねえだろうな」
「自分の名前がナオトだって以外、僕は何もしゃべってない。誓ってもいい」
「誰に誓う気だ?」
リュウジが銃口をナオトに向けた。だが、彼は微塵も怯える様子を見せず、リュウジを睨み返す。
くわえていたタバコを床に吐き捨て、リュウジが言った。
「神様とか言うなよ?この国にそんなもんは、とっくに消えてなくなってんだ」
「僕だって神様なんかもう信じてない。僕が誓うのも、信じるのも全部…」
ナオトは再びユウヤを見た。ユウヤは相変わらず映っていないテレビを見つめている。
やがて、ふうと小さく息をつき、ユウヤは皆を振り返った。口元が静かに動く。
「今日はもう休む。皆も休んでくれ…」
おもむろにソファーから立ち上がり、ユウヤはドアの一つに向かおうとする。その背中にオガは問いかけた。
「…ユウヤ君。何故、撃ったのですか?」
「……」
「先ほど、警察無線を盗聴しましたが、あの刑事、アバラにヒビが入った程度で済んだようです」
「そうか」
ユウヤの手がドアノブにかかる。三人は、ユウヤの短い返事の中に強い安堵が混じっているのを感じた。
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