第58話

まるで拗ねた子供のようだな、とオガは苦笑する。そこで初めて彼がやってきた事に気付いたナオトが慌てて立ち上がり、オガの前に立った。


「オガさんっ…!」

「ナオト君、無事で良かったです。どこか具合の悪いところはないですか?」

「ごめんなさい、オガさんにも迷惑かけて…」


 優しく声をかけるオガに対し、ナオトは唇を噛み締め、爪が食い込むほどにこぶしを握り締めた。


 その表情から、よほど強く自分を責めているのだろうと簡単に思い当たる。オガはナオトの肩に手を置き、「もういいのですよ」と言おうとしたが、それはリュウジの言葉に遮られた。


「全くだぜ。ユウヤが絶対連れ戻すって言うからどんな奴かと思えば、何だよガキときたもんだ」

「リュウジ君、ナオト君も立派なレッド・ティアーズのメンバーですよ」


 オガが視線をずらすと、リュウジはくすぶったタバコを唇で持て余しながら、壁に掛けられた拳銃の一つを手に背を預けていた。鼻唄を歌いながら、格好つけて構える。

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