合流

第49話

レッド・ティアーズが大通りに現れる一時間ほど前。D地区のとある高校の校庭は、すさまじい光景となっていた。


 今日この日、この場所で「国家認定国民断罪法」Case.41が極秘に施行されるはずだった。


 その情報は『委員会』によって厳重に管理され、マスコミはおろか一般市民にも一切知らされていなかった。


 だが施行予定の時間が迫り、裁人である有山瞳と、裁きを受ける加害者・飯塚仁が別々に校庭に入ってきた時だった。


 上空から突然現れたツインヒューイの姿に、その場は騒然となった。


「はっは~!レッド・ティアーズ参上!」


 操縦捍を握る男が興奮気味に笑いながら、機関銃を撃ちまくった。


 陣形を崩されて動揺する警備の兵士達を他所に、ツインヒューイは有山瞳と飯塚仁の目の前に降り立つ。


 ツインヒューイのドアがスライドして開け放たれた瞬間、飯塚が瞳の身体を抱え上げ、素早く乗り込む。兵士の一人がそれを見て叫んだ。


「刑場破りは国家反逆罪だぞ!分かってやってるのか!」

「うるせえんだよ!」


 パイロットの男が窓から身を乗り出す。その手にあるのはショットガンだった。彼は何の躊躇もなく、ショットガンの引き金を引いた…。

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