第46話

「ユウヤ、僕が分からないのか!?僕は大和だ、須藤大和だ!」

「……」

「ユウヤ、お前は…鳴神裕也じゃ…」


 なおも黙り続けるユウヤに、須藤はさらに一歩近付く。だが、もうそれ以上しゃべる事はできなかった。


 須藤が「鳴神裕也」という名を口に出した途端、ユウヤが素早く動いた。腰に差していた拳銃を瞬時に抜き取り、須藤に向けたのだ。そして…。


「撃つからには一発で決めろと言っただろう」


 何の躊躇もなく、ユウヤは引き金を引いた。ダァン!短い音と共に、須藤は仰向けに倒れた。


「須藤!!」


 倒れた相棒の名を叫びながら、轟木がその場に駆け付けようと走り出す。だが、ユウヤが再び轟木に銃口を向けた事で、その足を止める他なかった。


「貴様ぁ…人殺しはしないんじゃなかったのか!?」

「……」

「答えろ!レッド・ティアーズ!」

「……」


 ユウヤは何も答えなかった。拳銃を構えたまま、ゆっくりと後ずさるようにツインヒューイに乗り込む。


「…出せ」

「あいよ」


 ユウヤの声に、リュウジが操縦桿を再び握り締める。ツインヒューイは再び強い風を巻き起こして、あっという間に上空へと飛び去っていった。


「…須藤…!」


 ツインヒューイが小さくなるまで、轟木はひたすら空を睨み付けていたが、やがて倒れたまま動かない須藤の元へと走っていった…。

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