第45話

「ユウヤ!」


 彼らまであと二十メートルほどという場所にやってくると、須藤はユウヤの背中に向けて狙いを定めた。


 慌ててナオトがぐいっと身を乗り出し、彼ら二人の間に立とうとするが、解放されたばかりの身体はうまく踏ん張れず、よろめいてしまう。


 それを見たユウヤは素早く立ち上がり、ナオトの身体をツインヒューイに押し込む。


「ユウヤさん!?」


 乱暴にドアをスライドしてナオトを閉じ込める。その間も、ユウヤは須藤に背中を向けたままだった。


 須藤が言った。


「こっちを向け、おとなしく投降するんだ」

「……」

「こっちを向くんだ、ユウヤ」

「……」

「ユウヤ…僕の顔に見覚えはないか!?」


 突然の質問に、ユウヤの全身がぴくりと揺れる。


 それを知ってか知らずか、須藤はさらに言い続けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る