第40話
ユウヤも踵を返し、ツインヒューイの元まで戻る。そんな彼を、リュウジは心底面白くないという顔でドアを開けた。
「おい。サツを信じて大丈夫なのかよ?」
「彼は信用できる」
「どうだか」
「いいから、早く縄を解くんだ」
急ぐように促すと、リュウジは「へいへい」と言いながら、少女の上半身の縄を解き、次に猿ぐつわを外してやった。
それまでは身動きもできない事からじっとおとなしくしていた少女だったが、縄と猿ぐつわが外された途端、じたばたと暴れだした。
まだ目隠しは取れてないので、手当たり次第に腕を振り回す。その爪がリュウジの頬を引っ掻いた。
「いって!このアマ…」
「離して!離しなさいよ、この極悪人!よくもあいつを…飯塚を逃がしたわね!」
押さえつけようとしたリュウジの胸を反射的に押したと同時に、少女の身体はヘリの外へ転がり落ちた。「きゃっ!」という短い声と共に、ユウヤの足元で尻餅をつく。
ユウヤは少女を起こそうと、その身を屈める。それを気配で察したのか、少女はユウヤに向かって唾を吐いた。唾は、ユウヤの頬にかかった。
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