第34話
同じ頃、大通りは再びパニックに陥っていた。
攻撃用ヘリの銃口が火を吹いた瞬間、群衆から悲鳴があがった。
そして、報道ヘリが旋回して去っていくのを見届けた攻撃用ヘリが、今度は大通りに向かって急降下を始めると、一気に空気が変わった。
「…ぎゃああ!」
「いやあ、助けてえ!」
「戦争でも始める気かよ!」
もはや群衆の誰も、ユウヤやトレーラーの少年の事など気にしていなかった。
恐怖におののいた叫び声をあげながら、次々と逃げていく人々の波。その中には鼓笛隊の者や兵士までいた。
大通りに舞い降りた攻撃用ヘリは、そのままユウヤの背後までやってきた。
アスファルトからギリギリの高さでボバリングしている為、ユウヤのコートが舞い上がる風に煽られてはためく。それはまるで、黒い翼を持つ堕天使のようであった。
ユウヤは肩越しに攻撃用ヘリの操縦席を見た。パイロットの男はスライド式のドアを開けながら、「ほらよ」と一丁の拳銃を投げてよこした。
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