第32話
彼らのすぐ目の前に、巨大な鉄の機体が迫ってきていた。
自分達が乗る小型の報道ヘリより三倍はあるかと思われる体長。その胴体から細長い尾翼にまで分厚い装甲が張り巡らされている。
大きなローターヘッドによって目まぐるしく回転するプロペラは、激しい音と共に、絶えず風を巻き起こしていた。それが小型ヘリを容赦なく揺らしていたのだ。
そして何より、その機体の機首部分には50口径機関銃の銃口が見えていた。
普通のヘリには決してあるはずのない装備――攻撃用ヘリの一つである事は間違いなかった。
何故、そのようなものがここに…。
疑問を抱えつつも、カメラマンがその姿を収めようとカメラを向けた時だった。
攻撃用ヘリの機関銃がゆっくりと動いた。そして、ピタリと報道ヘリにその銃口が向けられた。
「きゃあ!」
女性リポーターがまた叫んだ。マイクは離さないが、座席にしがみついたままギュッと目を閉じてしまう。実況中継など、とてもできない有り様だった。
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