奪還
第31話
大通りの上空では、報道ヘリがユウヤの射殺の瞬間を撮影しようと、その場から離れずボバリングしていた。
女性リポーターも先ほどとは違い、少々興奮した声色で状況を話していく。
「…ご、ごらんいただけますでしょうか!?今、私達の目の前で、レッド・ティアーズのリーダーであるユウヤが…きゃあ!」
だが、その言葉は途中で止まった。突然、報道ヘリの機体がグラグラと不規則に揺れ出したのだ。
女性リポーターとカメラマンはとっさに自分の座席にしがみつく。
突然の揺れに叫び声をあげ、動揺しているが、商売道具のマイクや撮影カメラを手離さないのはプロ意識のなせる技だろう。
カメラマンが顔をしかめながら、パイロットに向かって大声を張り上げた。
「おい!もっとちゃんと飛ばしてろよ!ブレちまうだろうが!」
「あ…、あ…」
「…?どうし…」
パイロットは返事もなく、ただ前を見据えたまま、ようやく操縦桿(そうじゅうかん)を握りしめている状態だった。
それを不思議に思ったカメラマンも前を見る。つられて女性リポーターも前を見た。そして再び悲鳴をあげるはめになった。
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