第29話
「今頃気付いても、もう遅い。情報不足だったようだな」
「……」
「仲間を見捨てられず、助ける事ばかりに執着しすぎたお前の負けだ、ユウヤ」
根岸が再び銃を構える。士気が下がっていた兵士達も、自分達の有利を確認し、一斉に小銃を構え直した。
ユウヤは少しうなだれ、微動だにしなかった。根岸の下品な笑みはますます深くなる。
「安心しろ、あのナオトとかいう坊やもすぐに後を追わせてやる。日本大国に仇をなした極悪人としてな」
「……」
「せめてもの情けだ。遺言くらいは聞いてやるぞ?」
「……」
ユウヤは何も言わなかった。その代わりとでもいうように、ナオトが「やめろ!ユウヤさんに手を出すな!」と悲痛な叫び声を繰り返した。
群衆の誰もがその瞬間を見ようと待ち望み、固唾を飲んでいる。
轟木はギリギリと歯軋りをした。
『委員会』は最初からこうするつもりだったのだ。俺達警察を信用せず、当てにもしていなかった…。
それでも協力しなければならない。例え駒扱いされても、全ては日本大国の為に…。情けなさと悔しさで拳をかたく握りしめた。
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