第27話

「ええい、何をしている貴様ら!そこをどけ!」


 そんな兵士達を一喝し、ずかずかとした歩調で割って入ってくる男がいた。


 恰幅がいいと言うよりは、太ってる印象の方が強い。兵士達よりも派手な軍服で、鼻の下に蓄えた髭に年季が感じられるが、丸メガネが何とも似合っていなかった。


 男は兵士達の輪を強引に抜け、ユウヤをひと睨みしながら拳銃を構える。それでも、ユウヤは不適な笑みを崩さない。


 その様子を見て、轟木はチッと舌打ちをした。


「根岸か…面倒な奴が出てきやがった。須藤、俺達も行くぞ…須藤?」


 返事がない事にいぶかしみ、轟木がふと横を見てみれば、そこに須藤の姿はなかった。


 あのバカ、どこに行ったと辺りをきょろきょろ見回す轟木の耳に、また銃声が届いた。今度は一発だけだった。


 慌てて、銃声がした方向を見る。ユウヤの足元のアスファルトに、撃ち込まれたばかりの銃痕があった。


 ユウヤは自分の足元からゆっくりと視線を前に移動させる。彼の目の前では、根岸という男が構えた拳銃の銃口から仄かな煙が立ち上っていた。

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