第26話

ダダダダダッ!パンパンパン、パンッ!!


 大通りに無数の銃声が一斉に鳴った。


 一瞬の後、甲高い悲鳴と共に群衆の動きが止まる。多くの者が耳を塞ぎ、その場にうずくまった。


 轟木と須藤、そして歩みを止めたユウヤは同じ方向をゆっくりと見やった。


 彼らの視線の先には何十人もの軍服を着た兵士達がいた。その手に自動小銃を構え、空に向かって威嚇射撃をしたのだ。


 群衆の誰もが動かなくなったのを確認すると、兵士達は素早い動きでユウヤの周囲をぐるりと取り囲んだ。


 兵士達はユウヤを中心に半径20メートルほどの距離を取り、小銃を構えた。確実に射殺できる距離だ。


「ユウヤさん!」


 十字架の少年が叫ぶ。だが、ユウヤの顔に恐怖の色は微塵も浮かんでいない。


 それどころか、コートのポケットに両手を突っ込み、口の端を少し持ち上げて静かに笑っていた。


 ゆっくりと、自分を取り囲んでいる兵士達を舐めるように見渡す。グラサンで届くはずがないのに、兵士達はユウヤのその強い眼力にたじろいだ。

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