第25話
だが、少年のその声に、大通りの空気は瞬く間に一変した。
静まり返っていた群衆はざわつき始め、やがて一人が二人、そして大勢が男――ユウヤに近付こうと蠢き始めた。
「ユウヤ…本物のユウヤだ!」
「きゃあ~!ユウヤよ~!」
「一千万の賞金首だ、捕まえろ!」
群衆の波が大きくうねり、大通りはパニック状態となった。
互いに押され、突き飛ばされて倒れ込む人々の悲鳴。親とはぐれ、泣き叫ぶ子供…。
押し合い圧し合いの混乱状態に、轟木と須藤の動きはさらに留められた。何とか踏ん張るのが精一杯、他になすすべがない。
「くっ…!」
「ヤロウ、これが狙いか!?」
一般市民の協力を仰ぎ、早期解決を図る為に、警察が逃亡中の凶悪犯などに褒賞金をかける制度は、日本大国となった今も変わらない。
とりわけ、レッド・ティアーズのユウヤには一千万という破格の褒賞金がかけられていた。
賞金首である自分が丸腰で出る事で混乱を起こし、仲間を取り返すつもりか。だとすれば、いるはずだ。
「須藤!トレーラーから離れるな!他にもまだ仲間が…」
腰に着けた拳銃のホルスターに手を当てながら、轟木が叫んだ時だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます