第17話

「こ、こちら中継です!た、只今、『国家認定国民断罪法』に対しテロ行為を働いたとして、先月、国家反逆罪で逮捕されましたレッド・ティアーズのメンバー、ナオトが、げ、厳重警戒の中で処刑場に連行されています!」


 彼女の言う通り、大通りの至る所に軍服を着た兵士や警察官達が各々銃器を所持し、鵜の目鷹の目で辺りを警戒している。


 その時、小さな事件が起きた。興奮した群衆の一人が、たまらず大通りに飛び出し、トレーラーに近付こうとしたのだ。


 だが、兵士や警察官達は素早く反応した。彼らは瞬時に暴走した者を取り押さえ、何の躊躇もなく銃を突き付けた。


「…あっ!今、トレーラーに近付こうとした者を警備隊が確保しました!レッド・ティアーズの一味でしょうか…?」


 女性リポーターの言葉に反応し、カメラマンはその様子をズームにして伝える。緊張が走った。


 一、二分ほどが経った。銃を構えていた警察官の一人がその緊張を解き、片手を空に向けて何度か振った。


 それを見て、女性リポーターはほっと息を吐いた。


「お騒がせしました!ど、どうやら一般市民だったようです。処刑完了まで警戒は続きます!皆様、くれぐれもトレーラーには近付かないようお願い致します…」

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