第14話

「リュウジ。初めての参加で興奮しているようだから、先に言っておくぞ」


 コートの男が言った。


「今回は救出作戦だ。戦争をするんじゃない、忘れるな」

「綺麗事を言うな、ユウヤさんよ」


 リュウジがくるりと振り向き、コートの男――ユウヤにショットガンを構え直した。


「奴らは遠慮なく撃ってくるぜ?血を無くして革命が成し得たのは、江戸時代の一回こっきりだ」

「お前の訓練の出来は認めてる。だが、誰も殺すな。そしてお前も…」

「ユウヤ!」

「言ったはずだ、俺達の仲間に自殺志願者はいらないと」


 ユウヤは素早く左手でショットガンの銃身を掴み、捻りあげた。


 うう、と唸りながら、リュウジはユウヤを睨んだ。こいつ、確か右利きだったはず。何で左手でこんな力強さがあるんだ…!


「いいな、リュウジ」


 ショットガンを手離し、ユウヤは背を向けた。


 そのままキャンピングカーの入り口ドアから降り、腕時計で時間を確認しながら携帯電話を取り出す。


「…時間だ」


 呟くように言うと、それを聞いたリュウジがしぶしぶといった感じでついてくる。手にはショットガンを持ったままだった。


 肩越しにふっと小さく笑い、ユウヤは空を見上げながら電話をかけた。二回のコール音の後、すぐに繋がった。


「始めよう、例のものを持ってきてくれ」


 一陣の風が、ユウヤとリュウジの頭上を通り抜けていった。

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