第11話

十五年前。国がこのような状態になった事を憂えた政府――とりわけ、時の内閣総理大臣だった本郷宗一郎(ほんごうそういちろう)は「日本大国」と国家名を変えたと同時に、とんでもない新法案を成立しました。


 裁判員制度に続く、ふざけた新法案。そう、あなたも知っている「国家認定国民断罪法」――皆が感謝と侮蔑を込めて呼ぶ「Re:Act(リ・アクト)」です。



 単純に訳すれば「仕返し」という意味のリ・アクト。これは明らかに間違った法案だ。こんな法案、誰も幸せになれない。憎しみの連鎖が続くだけだ。


 だから、僕達はレジスタンスとして立ち上がった。あの人をリーダーとして。かつて正しい裁きをしてくれた「日本」に戻す為に――。


 今はまだ、その途中なのに、こうして捕われて処刑されるのがとても心残りです。


 もっと、もっとあの人の役に立ちたかった。


 この手紙を読んでいるあなたへ。どうかお願いです。


 あなたが少しでもリ・アクトを忌み嫌っているのなら、僕の代わりに戦って下さい。


 あなたの声が、この国を変えられる。


 あなたの叫びが、レッド・ティアーズの力になる。


 あなたの存在そのものが、あの人の支えになるから…。

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