第一章

独白

第10話

この手紙を読んでいるあなたへ


 あなたは、一体どこに住んでいる人なのでしょうか?


 僕と同じ日本大国の方でしょうか?もし、外国の方だったらすみません。急いで書いているもので、英文を考える余裕がないんです。


 それというのも、あなたがこの手紙を読む頃、僕はもうこの世にいないからです。あと半日も経てば、国家反逆罪で処刑される身なのです。


 だいぶ世間に広まった名前だから、きっとあなたもご存じでしょうが、僕は『レッド・ティアーズ』のメンバーです。



 世界的な大不況となって百年以上。経済不調の立て直しが全く進まず、かつて「日本」としか名乗っていなかった僕達の国は、かなり物騒な国となりました。


 大なり小なり、犯罪率が一気に上昇。七秒に一度の割合で殺人事件が発生する計算になりました。


 家族間でも互いに信頼できなくなり、一般人が誰の許可もいらずに、簡単に拳銃が購入できるほど――。


 そんなふうだから、いつのまにかA国に続き、世界第二位とまで称されるほどの犯罪大国に成り果てたのです。

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