第38話
二人目と三人目の女子生徒の身元は、すぐに分かった。
二人目の名前は坂口桃子(さかぐちももこ)、三人目は新塚カナ(にいづかかな)といって、二人とも斉藤と小学校からの同級生だった。
坂口はB組、新塚はC組とクラスはバラバラに分かれていたが、それでも彼女達の仲は変わらず、放課後はよく一緒に遊んでいたそうだ。その中に、城ノ内もいた。
城ノ内が学校を休んで五日目の昼休み、僕は意を決して坂口と新塚の二人を職員室に呼びだした。
放送で呼び出した上に、二人は僕の名前を覚えていなかったのだろう。職員室に入ってきた時の彼女達は何故呼び出されたのか分からないといったふうに首を傾げていたが、出迎えたのが五日前に見た顔だと分かった途端、顔色が一気に悪くなった。
視線を足元に落とし、肩を震わせ始めている二人を見て、僕は言った。
「落ち着け。この前の事はまだ誰にも話していない…僕はまず、あんな事になったいきさつから知りたいんだ」
「…本当?」
坂口がおそるおそるといった口調で問いかけるので、僕は「ああ」としっかり頷いた。
「話の内容にもよるけど、正直に話してくれたら、絶対に悪いようにはしない。全てが上手くいくように僕が善処するから」
「だったら、話してもいいけどぉ…」
「何言ってんの、桃子!智香を裏切る気!?」
顔を上げて何か話してくれそうだった坂口の言葉を、新塚がその肩を掴んで制した。
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