第28話



 その日の昼休み、僕は城ノ内を職員室に呼んだ。


 昼の弁当を食べ終わってからでいいと言っておいたのだが、城ノ内は昼休み開始のチャイムが職員室に鳴り響いてからわずか二分後にやってきた。そのおかげで僕はコンビニ弁当を口にしている所を城ノ内にバッチリと見られてしまった。


 城ノ内は一瞬目を丸くして、僕が食べていたからあげ弁当を見た後、少し頭を下げて「すみません…」と小さな声で言った。


「先生、まだ食事中だったんですね、ごめんなさい…」

「いや、いいんだ。早いな、城ノ内…ちゃんと食べてきたのか?」

「いえ…」

「何でだ?」

「…ダイエット中なものですから」


 少しの間を開けて、城ノ内はそう答えた。


 おかしいと思った。


 小柄な体格もさることながら、城ノ内は両腕両足共にずいぶんと細く、引き締まっているというより物足りないといった印象の方が強い。ちょっと掴んで力を入れれば簡単に折れてしまう枯れ枝のようにも見える。


 余分な脂肪などどこにあるというのか…。それとも、やはり年頃の女の子だからわずかな変化に戸惑い、気にしてしまうものなのか。


 そこまで考えてみたものの、僕が城ノ内を呼んだのはそんな理由ではない。男では計り知れない要素に思考が持っていかれそうになるのを留め、僕は昨夜の事を切り出そうと思った。

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