第61話
リュウジはすくっと立ち上がった。目をきょろきょろと動かすが、さっきの煙幕弾がまだ効果を発していて、ナイフ使いの姿を捉える事ができない。
(今のはまぐれに決まってる。俺が見えないのに、あいつにだけ見えてるもんかよ!)
リュウジはもう一度、自分の足元を見た。間違いなくブーツは脱ぎ捨てている。無謀かもしれないが、広いホールで足音を響かせながら戦うなんて、相手に位置を教えているようなものだ。
リュウジは神経を集中させた。連続して攻撃が来ないという事は、あのナイフ使い以外に襲ってくる敵はいないという事だ。
(だったら、とっとと決めてやる)
できるだけ音を立てないように、ゆっくりと銃身をスライドさせてプラスチック弾を装填した。そのまま右に飛び出し、まずは一発撃って様子を伺おうと思ったリュウジの耳に、また信じられない言葉が届いた。
「お前らお得意のプラスチック弾か。六発込めたな」
今度こそ、ぞくっとした悪寒がリュウジの背中を駆け抜けた。
見られてる!?見えてる!?そんなバカな、この煙の中をどうやって…!
リュウジは前に飛び出し、煙の中に紛れたナイフ使いの姿を必死に捜すが、やはり見つける事ができない。そんなリュウジを、くくくと嘲笑う声が聞こえてきた。
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