第51話

「今でも本郷様には凄腕のSPが警護してるはずだ。そう簡単に…」

「あの程度の腕の人間とセキュリティが通じる俺達と思うか?スケジュール管理も障子に穴を開けるがごときの甘さだ」

「…中に入ってどうする気だ?」

「それは『キリング・アーミー』次第だが…一つだけ、あんたと共通点がある」


 ユウヤは宗一郎の背中に突き付けていた拳銃を素早くセンターに向けると、躊躇いなく引き金を引いた。


 ユウヤが撃った模擬弾は寸分の狂いもなく、ゴールドが持っていたナイフの刃に当たり、ナイフはバキィンと甲高い音を立てて折れた。


「なっ、マジかよ!?あの距離で…!」

「よく聞け、『キリング・アーミー』!」


 ナイフを折られて動揺するゴールドに向かって、ユウヤは怒鳴った。


「お前らのボスに伝えろ!望み通りに来てやったんだから、人質は丁重に扱えとな!余計な犠牲は絶対に許さん!」


 ユウヤの怒鳴り声に、ゴールドは遠目からでも分かるくらい、ギリギリと歯軋りをしている。やがて「くそっ!」と吐き捨てると、自分の足元で動けなくなっている老婆の髪の毛を再び掴み、引きずるようにして窓枠から離れていった。

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