第49話
「がっはっは!まさか言いなりになって、本当にやってくるとはな!ユウヤ、今日がお前の命日だ!」
「…根岸さん。今日はあんたに付き合ってる時間はないんだが」
「やかましい!本郷様、お待ち下さい。今すぐこの私が、薄汚いテロリストを始末し…っ!!」
根岸が最後まで言い切る事はなかった。「しつこい」と痺れを切らしたユウヤが撃ったゴム製の模擬弾が腹部を直撃し、根岸はそのまま仰向けに倒れてしまった。
いつも以上に容赦のないやり方の為か、後ろから見ていたリュウジは根岸の姿に苦笑した。
「機嫌の悪いユウヤにちょっかい出すからだ。あ~あ、泡吹いてるわ白目向いてるわで、かなりみっともねえの」
「時間がない、さっさと済ませる為だ。さあ、行くぞ」
ユウヤはセンターを見上げた。四階の窓枠では、今のユウヤの素早い射撃に感心しているのか、ゴールドが単調な拍手をしているのが見える。
今にも怒りが爆発して、憎しみで心が真っ黒に染まりそうだ。それを抑えたのは、本郷宗一郎の小さな声だった。
「ワシを囮に使うんじゃ。いいか、高明。必ずや…」
「今の俺は、高明じゃありませんよ。お祖父様…」
拳銃をさらに背中に押し付け、先に進むように促す。それに従って、本郷宗一郎はユウヤとリュウジの盾となっている形でセンターの入り口前までやって来た。
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