第41話
「椿様!…三枝、何の真似だ!?」
部下の一人が意識を失った椿の身体を支えながら、環を睨む。環の方も今更ながら自分のやってしまった事の大胆さに驚き、彼を殴ってしまった右手を見つめて「ど、どうしよう…」とか細い声で言った。
「こ、これって…やっぱりやりすぎよね…?」
「やりすぎで済むか!よくて減俸、悪けりゃお前の首が飛ぶ…」
「…いや、いい判断だ。頭に血が昇ったそいつに言葉は通じんからな」
環達の背後からゆっくりと足音が近付いてきて、野太い声が被さってきた。その声に環達の神経がぞわりと逆立ち、すぐさま振り返る。そこに、椿 登志彦が立っていた。
「い、い、委員長…!」
「確かお前は、第一課の三枝だったな。バカ息子の暴走を止めてくれた事、父親として礼を言うぞ」
「い、いえ!そんなもったいないお言葉を…」
「そこまでさせてしまって悪いが、孝一の思惑にはまってやろうと思う。私は現場に行くぞ」
そう言って、椿 登志彦は窓の外を見つめ、わずかに口の端を持ち上げた。
「会えるのが楽しみだよ、鳴神裕也…」
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