第40話
椿の脳裏に、先ほど『キリング・アーミー』が流してきた映像が甦る。その中にはっきりと、弟・須藤大和の苦しむ姿も映っていた。
どうして、大和ばかりがいつもこんな目に遭う?どうして…。
「『キリング・アーミー』は本郷宗一郎様かお父さ…いや、委員長のどちらかを連れてこいとユウヤに言っていた。奴らが何を考えてるかは知らんが、宗一郎様を危険に晒せない。委員長に動いてもらう必要がある」
「落ち着いて下さい、椿様!それは委員長とて同じです!」
「委員会の代表に何かあれば、それこそ全てのテロリスト達を決起させるきっかけになりかね…」
「うるさい、離せ!」
両手のこぶしをぎゅっと握り締め、椿は部下達の押さえてくる腕を振り払おうと暴れた。本気で上司を押さえ付ける事などできない彼らはあっけなく離されてしまったが、たった一人だけ椿につかつかと近付く。そして…。
「失礼致します、椿様!」
突然、椿の鳩尾に強い衝撃が走った。一瞬息が詰まり、そのまま一気に身体の力が抜けていく。
「さえ…ぐ…」
徐々に薄れていく意識の中、椿は目の前にいる人物を見た。それが環だと分かったのと同時に、彼の身体は廊下に倒れ込んだ。
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