第21話
†
数多く用意してあるアジトのうちの一つ。その地下射撃場で、ユウヤはもう二時間も銃を撃ち続けていた。
数十メートル前方に見える人型の的には、肩や足など負傷すれば動けなくなる五つの急所の位置が記されている。的はスライド形式で次々と取り換えられていくが、ユウヤはそれらを一寸の狂いもなく、全て撃ち抜いていた。
ユウヤの足元には何十個の薬莢と共に、飲み干したビール缶が二、三個転がっていた。それを少し離れた場所で控えている妹尾が、辛そうな顔で見つめていた。
「ぼっちゃま、飲みながらの射撃などお身体に障ります。今日はもうやめましょう…」
いつまで経ってもやめる気配を見せないユウヤに、妹尾はそっと近付いて声をかけた。妹尾の手には濡れたタオルが用意されていて、赤くなっているユウヤの左頬に当てられた。
ユウヤの左頬が赤いのは、射撃による興奮や酒の酔いからだけではなかった。あれから二時間が経ったというのに、左頬にはまだじんじんとした痛みが残っているし、腫れも出てきていた。
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