第15話

「これなら、絶対に外さない…殺してやる、洋子と生まれてくるはずだった子供の仇だ!」


 榎木新一の指が引き金に触れる。それを見て、やっと安心したように寛人は目を閉じた。


 直人、直人ごめんな。直人、直人、どうか…。


 榎木新一が引き金を引く瞬間、寛人の口が言葉を紡いだ。だが、その後すぐに響いた銃声のせいで、寛人の最期の言葉は…。






 額を撃ち抜かれて即死した遠藤寛人の遺体はすぐに火葬され、委員会の手によって海に投棄される予定だった。


 だが、彼の遺体を運んでいた霊柩車が何者かに襲われたと通達が入り、委員会が駆け付けた時には、すでに遺体は棺桶ごと盗まれた後だった。


 スタンガンで気絶させられていた職員二人の話では、霊柩車の前をジープが突然遮ってきて、そこからグラサンをかけた若い男――今、世間を騒がしつつあるレッド・ティアーズのユウヤが降りてきた。そして、スタンガンで自分達に襲いかかってきた、というのだ。


 その場に居合わせた委員会の誰もが首をかしげた。何故ユウヤが元加害者の遺体を盗み出す必要があったのか、誰も答えを見つけ出せなかった…。

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