第7話

接見室は、一つの部屋の中心を分厚いガラス窓で二つに区分けした場所にパイプ椅子があるだけの殺風景なもので、四隅には監視カメラが取り付けられていた。


 被留置者が外部の者と不当な取引を行ったり、逃走などに使う道具の受け取りを防止する為の処置であるが、今の寛人にはどうでもよかった。


 リ・アクト執行が決定した人間は、その日が来るまで閉じ込められる。この接見が、外部の人間と会話ができる最後の機会なのだ。


 寛人の目の前のガラス窓の向こうに、彼を担当した弁護士の男が座っている。


 これが最後になるなら、直人にもう一度会っておきたかったな。


 そう思いながら苦笑する寛人の耳に、弁護士の信じられない言葉が届いた。


「看守さん。すみませんが、彼と二人きりにさせてもらいませんか?」


 刑務官は思わず「はぁ?」と声をあげた。


 例え誰であっても、接見室内で交わされた会話は全て記録し、書類にしなければならない。その為に最低でも一人の刑務官が接見に立ち会い、手書きで会話を書き留める作業をする事など、弁護士なら知ってて当然である。


 それなのに出ていけと言われて、刑務官はじろりと弁護士を睨み付けた。

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