(2)[52~65P]
第52話
一年後。無事に専門学校を卒業した僕は、とある絵画教室のアルバイトスタッフに収まり、生活面では何の不満もない日々を送っていた。
素人に毛が生えた程度の実力しか持たない僕は特に芸術家を目指していた訳でもなく、絵画教室を経営している先生や先輩達の言う事を忠実に、そして淡々と聞いている事で厄介に思われる事も呆れられる事もなかった。それでいいやと、何となく思っていた。
社会人の仲間入りをした事で忙しくなってしまった僕は、家と絵画教室の間を行ったり来たりするだけの生活となってしまって、なかなか気が休まる時がなかった。
絵画教室のスタッフとは案外体力勝負な所があって、先生の個展や出張教室のようなものがあれば、それがどんなにこぢんまりとした規模であっても、トラック一台分の荷物を要してまるで引っ越しだった。
毎週一度か二度は必ず引っ越し業者のように荷物の出し入れをしていたので、全身の疲労は両腕の太さと正比例して、規定である週に一度の休みでは全く足りないほどであった。
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