第48話
「どうしたの、ショウ?」
チリが身を乗り出し、首を傾げながら僕の顔を覗き込んでくる。その仕草があまりにも悪戯好きな子供のように見えて、僕は彼女を軽く睨み付けた。誰のせいだと言ってやりたかった。
「ところでさ」
つまみの枝豆に手を伸ばしながら、健司がチリに言った。
「チリは今、何をしてるんだ?学生か?」
「う~んとねぇ…、フリーターってところかな?高校も途中で辞めちゃったしね」
短く唸って少し考え込んだ後、チリが笑いながら答えた。
「今は近所の花屋さんでバイト中。でも、また変わるかも」
「相変わらずわがまま勝手な奴だな」
「全くだ。成長がないぞ、チリ?」
僕と健司が同時に溜め息をつく。チリは可愛くはにかみながら、ぺろっと舌を突き出していた。
居酒屋の閉店時間ぎりぎりまで居座っていたおかげで終電も終バスもなくなり、高揚気分のチリは「参ったなぁ~」と鼻歌混じりで言った。
「親には今日中に帰るって言ってたのになぁ、残念無念…」
「二十歳になっても門限ありか?厳しいんだな」
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