第33話

三日後。チリは突然、学校からいなくなった。父親の仕事の都合で遠い町へ引っ越していったのだと、彼女のクラスの担任から聞いた。チリの明るくて騒がしい声がなくなったら、学校はとても静かになってしまった。


「あの祭りを、最後の思い出にしたって事か」


 幼なじみなのに、何も聞かされていなかったと、健司は悔しそうにこぼしていた。


「全く。本当にあいつらしいよ。実にわがまま勝手な奴だ」

「そうだな…」


 僕は自分の口元を指で押さえながら、健司の愚痴にしばらく付き合っていた。

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