第19話


 数日後に開かれた球技大会は予想通り全校生徒の興奮を掻き立て、体育館とグラウンドを熱気と声援で埋め尽くしていた。


 僕のクラスのバレーボールチームは多少危ない場面もあったが、健司の類い稀なる活躍のおかげでベスト4にまで勝ち上がった。補欠の僕はといえば何もする事がなく、コートの隅の方で実にのんびりと彼らを見物していた。


 準決勝を前に遅い昼食を摂る事になった僕達は、一旦体育館を出て教室に向かった。敢闘精神を尽くした汗を拭いながら雑談を交わす健司達の表情は実に爽やかで、僕はそんな彼らの後ろについて黙って歩いていた。


 廊下の窓の向こうでは、やや遠目だったがグラウンドの様子がよく見えた。グラウンドでは野球とサッカー、ドッジボールが行なわれていて、よほど盛り上がっているのか、応援に回っている女子生徒達の黄色い声がこだまのように響いていた。


「すごい賑わいだな」


 皆との会話を中断させた健司が、外の景色を覗き込むようにしながら言った。他の皆も彼の言葉につられて、群がるように窓枠へとかじり付く。僕だけが廊下の真ん中に突っ立っていた。

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