第17話
「球技大会の希望種目、まだ決めてないだろ。早く言ってくれないと体育委員の仕事が進まない」
「どれでもいいよ。何でもいいから、どこかの補欠にしておいてくれ」
「そういう訳にいくか。きちんと人数が決まってるんだ」
「相変わらず生真面目な奴だな」
僕はわざと息をついてみせたが、健司のこういう性格は少し尊敬していた。
僕という人間は、基本的に誰かに褒められるような部分を持ち合わせておらず、毎日を当たり障りなく生きているようなものだった。
人見知りするような癖はまだ治っていず、クラス替え以降は一人で過ごす事がより多く続いていたのだが、出席番号と席順が僕の一つ前に位置している健司とはたまに話をしていた。
体育委員を立候補しただけあって、健司は中学生にしては体格ががっちりとしていて逞しかった。その上、スポーツ万能でもあったので、体育の時間はいつも英雄扱いだった。
球技大会のルールで、体育会系クラブに所属している生徒はその種目に出てはいけないとされている。野球部に所属している健司はそれに従ってバレーボールを選択していたが、さほど苦ではなさそうに見えた。中肉中背というより痩せ気味の方であった僕とは、正反対もいいところだった。
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