第7話
「だって、今やりたいんだもの。二年になったらクラス替えしちゃうし」
にこにこと満面の笑みを浮かべながら、軽い口調で説き伏せようとするチリに、僕はいい気がしなかった。何てわがままな奴なんだと、彼女への印象を悪くする一方だった。
お泊り会は夏休みに入って最初の土曜と日曜の二日間に決まった。部活に入っていない何人かが金曜日までに夕食の食材やパーティーグッズを仕入れる事になり、帰宅部の僕は自動的に買い出し係の一人に選ばれてしまった。
一学期の終業式が終わったのは、前日の金曜日だった。買い出し係に選ばれた僕以外の数人が何回かに分けて食材などを買い込んでくれていたので、この日の当番になっていた僕が買う物といったら、夕食の後で使う花火だけだった。
ホームルームが終わったと同時に、チリは僕の席の前に回り込んできて「ショウ、行こっか」などと言ってきた。僕の腕を掴んでぐいぐいと引っ張ってくるので、僕はわざと顔をしかめながら言った。
「待てよ、他の奴らもいるだろ?」
「ううん。私とショウだけ」
チリが答えた。その手にはクラスの皆から集めたお金が入った封筒があり、彼女が揺らすとジャラジャラと小銭がぶつかり合う音が聞こえてきた。
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