第6話
隣同士の席だったにも関わらず、僕とチリには接点があまりなかった。
誰にでもフレンドリーに話しかけて親しくなれるチリと、少々人見知りをしてしまう癖のあった当時の僕では全く世界観が異なっていたようで、「おはよう」とか、「バイバイ、また明日」くらいしか会話がなかったし、それでいいと思っていた。これから先の人生、この騒がしい少女と深く関わっていく事になろうとは全く思っていなかった。
中学一年の夏休みがもうじき始まる初夏の頃、クラスで一番明るいからという理由で学級委員になっていたチリが、突然クラスでお泊り会をやりたいと提案してきた。
生徒達の交流や部活動の合宿などの用途でいつでも使えるようにと、校舎内に宿泊できる大部屋や布団などが準備されている事が、彼女に幸いしていた。
夕食の買い出しや大部屋の掃除など、面倒臭い事が多いお泊り会に僕はあまり乗り気ではなかったし、実際、何人かの男子も不満げな声を出した。二年にもなれば修学旅行があるじゃないかという意見も出たが、チリは「いいじゃん、楽しくて」ときっぱり言い切った。
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