第15話
しばらくして、ベッドの女がゆっくりと目を覚ましたが、部屋の真ん中に座り込んで自分を観察していた早紀の姿に少なからず驚き、「ひゃっ」と短く叫んだ。
シャワールームから引き締まった身体付きの若い男が出てきたのは、それとほぼ同時だった。
「…だ、大樹ぃ!何なの、この子ぉ」
この部屋に早紀がいる事がよほど不満に思えたのか、女は裸のまま男に抱きつく。
腰にバスタオル一枚巻いただけの男は、やれやれといった感じに肩を竦めながら答えた。
「大丈夫だよ、マリ。少なくとも、お前よりはいい女じゃないさ」
「そんなオバサンと比べないでよね」
ふんと鼻を鳴らして、早紀が言った。
ムキになった女が掴み掛かろうとしたが、大樹という名の男は「まあまあ…」と彼女を宥め、その額にキスをする。早紀はその様子を、何とも思わずに眺めていた。
仕事に遅刻すると慌てて身支度を整えた女が出ていくのを見届けた後、大樹はくるっと早紀の方を振り向いた。
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