第7話

「おっせぇよ!」

「待ちくたびれたよ、チョコ~!」


 チョコが苦笑いを浮かべながら、小走りで近付いてくる。


 早紀以外の少女達はチョコを出迎えると、彼女のふくよかな頬を指で突いたり、柔らかそうな身体をぎゅっと抱き締めるなどして、その感触を楽しんでいた。


「チョコ」


 ベンチの上で組んでいた足を組み替え、早紀が話しかけた。


「何やってたの」

「え?」

「珍しく遅かったじゃん」

「うん、ちょっとね」


 苦笑いだけではなく、言葉も濁らせがちなチョコに怪訝な気を起こしたのは早紀だけではなかった。チョコの周りを楽しそうに取り囲んでいた少女達も、早紀と似たような表情に変わっていった。


「ごめん、今日はこれだけ」


 やがてチョコは小さく頭を下げると、持っていた小物入れから香水の入ったアトマイザー一本だけを取り出した。


 ミヤコの時と違って、早紀も少女達も驚きを隠せなかった。


「どうしたの」


 早紀が言った。


「Gメンでもいたの?」

「あんなしょぼいコンビニにいる訳ないじゃん」


 チョコが溜め息を一つ漏らしてから答えた。

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