第4話
ミヤコは濡れて額に貼りつく前髪を払う事もできずに、呆然と早紀を見上げている。
背筋がぞっとした。
だが、それが水の冷たさによる自然な症状の為なのか、それとも早紀に対する恐怖によるものなのかは、どうしても分からなかった。
「いらないんだよ、そんなもの」
早紀が言葉を続けた。
「罪悪感なんて持ってるから、私達は今の世の中で生きにくいんだ」
早紀はミヤコを見遣った後、ふんと鼻を鳴らしてボックス席から立ち去った。他の少女達もぞろぞろと早紀についていく。
ミヤコはテーブルの上に残された未清算の伝票を、ただぼんやりと見つめていた。
「やるじゃん、早紀」
喫茶店を出て、少し歩いた所にいくつかのベンチが置いてあるだけの緑地公園がある。またタバコを吸おうとしてベンチに座った早紀に、少女達の一人が話しかけた。
「まさか、水ぶっかけるなんてね」
「あれくらいやんなきゃ、黙ってくんないじゃん…」
くわえたタバコに火を点け、早紀は深々と煙を吸い込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます