第56話

「俺が盛大に盛り上げっから、亜利寿は俺の助手を担当な?あっ、ウケ狙いっつー事で、亜利寿のセリフは全部英語でよろしく!」

「…え、英語でですか?」

「ああ。次の英検は一級の問題なんだろ?練習だと思って頼むわ」

「あ、あ、亜利寿ちゃ…えーごぉ!」


 新しい話題に飛び付いた美希が、満面の笑みを浮かべながらゆっくりと両手を叩く。亜利寿は戸惑いの表情を浮かべて少し顔を逸らすものの、それに気付かないカナエと道孝も順番に言葉を紡いだ。


「良の提案はともかくとして…英検は頑張っておくれよ、亜利寿?期待しとるから」

「何言ってんだか。亜利寿は準一級までストレートだったんだ。俺らが心配するまでもないって。でもまあ、一応は応援してるからさ…」


 亜利寿は小さく頷いた。やっと出会えた大切な四人の仲間だった。そんな彼らに、自分は嘘を吐いているなどとはとても言えなかった…。


† † †

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