第44話
「捜索願いを出しましょう…」
「細川さん!」
「また何かの事故に巻き込まれたかもしれない。その場合でなくても、美希ちゃんは自分で助けを求められないわ。それに、これ以上は充君の心がもたない…」
そう言って、細川は隣のパイプ椅子に座ってうたた寝をしている充の頭を静かに撫でた。充の表情にも疲れが見え、涙の痕がくっきりと残っている。
「分かっているでしょ?美希ちゃんも充君も、突発的な感情や環境の変化をそう簡単には受け入れられないんだから…」
「俺が行きます」
「仙崎君…?」
「俺も捜しに行きますから。だからもう少し待って下さい!」
言うや否や、良は弾丸のように病室を飛び出し、猛スピードで病院から駆け出した。
こうなったのは自分のせいだ。俺が美希に当たったから、こんな事になった。それなのに、他人にその尻拭いをされてしまったら、もう美希に謝る事すらできなくなる…。
良は走った。美希が育った施設、美希が一人暮らししているアパート、美希が働いている麺工場の周り、そして最後に、初めて美希と出会った公園の中を死に物狂いで走り回った。だが、どこを捜しても美希は見つからなかった。
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