第43話

「み、美希ちゃんは…?」

「まだ見つかってないみたいです」


 良が首を振って答えると、彼の後ろにいた充が大声で泣き始めた。


「せ、せん、せ…なんだよ。細川、先生なんだよ…!」

「充君…」


 細川は充の側に行き、その背中をゆっくりと撫でてやる。充は細川の腕をぎゅっと掴み、泣き続けた。


「心当たりは、全部捜したんだけど…」


 細川が良を振り返って言った。


「美希ちゃんが知っている場所なんて限られているから、すぐに見つかると思ったのに…」

「すみません、俺が美希に八つ当たりしたばっかりに…!」


 良は深く頭を下げるが、細川は首を振りながら、「そんな事言ってる場合じゃないから」と優しく言ってくれた。


 しかし翌日の朝日が昇っても、それがまた地平線に沈みかけようという時間になっても美希は見つからず、帰ってもこなかった。


 美希は右足にヒビが入っていて、それをギプスで固定している。まだ痛みが激しく、満足に動けるはずがない。それまでじっと病室のパイプ椅子に座っていた細川がゆっくりと立ち上がり、良に向かって言った。

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