第33話
「…お前見たところ、美希の施設仲間って奴だな?名前は?」
「ま、ま、まさ、正木ぃ…、充なんだよ」
「正木 充…?」
何となく聞いた覚えがある。美希と同じ施設で育ち、同じ麺工場で働いている彼女の先輩であると。
「は、はねか、わさ…泣かせたんだ、よ!あんた、泣か…せたんだよ!」
充は先ほどと同じようにこぶしを握り締め、良を殴ろうと身構えている。それを見た良は再び大きく溜め息をつき、充を見据えた。
「…お前な、どういうつもりだよ?」
「へ…?」
「何で俺が、お前に怒られなきゃいけねえんだよ?」
良はじっと充を睨み付けた。すると彼はきょとんとした表情で首を傾げ、握っていたこぶしをだらりと落とした。
「お、おこ、怒…て、ないんだよ。叱って、るんだよ?」
「同じだっつーの…」
「おんなじじゃ、ない…んだよ!」
充は二、三歩ほど良に歩み寄った。どうやら良とさほど歳が変わらないようだが、美希と同様にあまり背は高くなく、顔立ちにもやや幼さが残っていた。
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